当事者性と専門性【講義ログ】

移動時間中や家事をしている最中、できるだけ面白そうな講義を聞くことにしています。

よく使うのは東京大学OCWNHKラジオなど。

今日はこの2016年の上野千鶴子先生による講義を聞きました。

ocw.u-tokyo.ac.jp

 

 

主題

黒人、障碍者、女性など弱者の問題を考え論じる主体として、当事者が軽視されすぎているのではないか

内容

「お前たちのことをお前たち以上に知っている」という姿勢(専門知の格差)や、「部外者のほうが客観的な意見議論が出せる」という理由によって、社会的弱者(黒人、障碍者、女性)の論じるのは強者(白人、健常者、男性)であることが多い。しかしそれは強者が「画一的な弱者象」を弱者に押し付ける結果となり弱者をより苦しめることになる。むしろこう言ったもろもろの運動の結果弱者を弱者たらしめている。

意識すべきは以下の三つ

・差異を認めるという姿勢

・誰に向けた議論なのかということを認識すること

・学問の加虐性、権威性に自覚的であること

 

感想

上野先生といえばジェンダー論を非常に強い語気で話すイメージだけが先行しており、きちんと講義や本を拝見したことがなかったのですが、きっぱりとした物言いとわかりやすいたとえが多く非常に好感を持ちました。

聞き終わって気づいたのですが、この講義は全3回講義の3回目だったようです。

しかしこの講義単体でも十分に内容の詰まった面白い講義でした。

講義中に挙げられていた以下の書籍も気になったので読んでみたい。

 

生き延びるためのラカン (ちくま文庫)

生き延びるためのラカン (ちくま文庫)

 

 

当事者主権 (岩波新書 新赤版 (860))

当事者主権 (岩波新書 新赤版 (860))